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富山県北アルプス
 初雪山(三角点1596.4m、最高点1610m)


青空と雲間の日の光で輝く初雪山。
  

【日  付】 2019年4月11日(木)~13日(土)

【メンバー】 (CL 久曽神皐浩)、礒田武志 2名

【コースタイム・アクセス】 
04/11 大宮(北陸新幹線はくたか553号)8:17~10:26黒部宇奈月駅~10:28日産レンタカー(JRトレンタ)10:45~11:31夢想塾(大地山登山口)準備・昼食12:19~15:33鍋倉山~16:15テント場(805m)

04/12 テント場6:45~8:27大地山8:29~12:42初雪山最高点13:14~15:51大地山15:57~17:01テント場

04/13 テント場6:27~6:40鍋倉山~8:28夢想塾((大地山登山口)8:42~9:52黒部宇奈月駅(日産レンタカー)/(はくたか560号)11:32~13:26大宮

【コメント】
 初雪山は栂海新道の犬ヶ岳に連なる北アルプスの展望の山である。大地山登山口から鍋倉山、大地山を経て初雪山をまで標高差1400m、片道10kmのアップダウン登山コースを雪慣れした地元富山の人たちは標準12時間で往復するという。大地山までは登山道が整備されているが大地山から初雪山は道が失せて薮続きという。だから残雪期を軽装で歩くのが最適である。体力が失せた高年齢の二人は山中2泊でできるだけゆっくりとテント場、大地山、初雪山を長い休憩込み10時間で歩いた。大地山から初雪山までは白銀の天空回廊であった。安定しない春の天気のせいで評判の大絶景が雲や霞で少々減点となったのは残念である。北アルプスの主稜線を歩きつくされた新座山の会の方々にはぜひ歩いてもらいたい     (記:礒田)

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     (写真 礒田)

4月11日    
4月12日    
4月13日    
         
         

 [記録]
 麗しい名前の初雪山は有名な剣北方稜線の僧ヶ岳の北東、栂海新道の犬ヶ岳の西にある北アルプスの一山である。行政的には富山県下新川郡朝日町、富山山岳連盟にとっては富山百山の一つ、温泉好きには小川温泉の傍と認識されている。地元の方は残雪期に好天の日を選んで、軽装で夢想塾(大地山登山口)から刈り払いされている夏道を大地山まで登り、それから天空の白銀回廊を楽しみながら初雪山最高点に、余力のある方は三角点まで歩いて引き返す、標高差1400m、往復20km、12時間のピストンをされると聞く。というのは初雪山の展望が、好天であれば栂海新道・後立山 白鳥山~(間に青海黒姫山が見える)~犬ケ岳~黒岩山~朝日岳、白馬の山々、剣北方稜線 僧ヶ岳~駒ヶ岳~毛勝山~剣岳、日本海、富山湾、能登半島、さらに遠くの白山まで見えるからだ。こんな良い山なのに地元以外にあまり知られていないのは残念である。大地山までは目印や夏道もあるが大地山から初雪山までは昔日の徒歩道が密薮になっているらしく、残雪期が最も歩き易いのがその原因かもしれない。なお初雪山は山スキーでも有名な山らしいが山スキーコースの展望は今一歩と久曽神CLから聞いた。

 これまでと同じくCLから年初にまずカレンダー計画、3月に入って具体的に立案された当初登山計画を頂いた。CLは77歳、礒田は74歳と高年であるので山中テント2泊してできるだけ初雪山ピストン時間を短縮し安全にとのプランであった。3日間の天気安定を待つため、当初の3月最終週はあきらめ、次の4月最初週は見送り、最終的に11日から13日の山行に決まった。当初登山計画を新座山の会リーダー部長にメール提出した際に「実行は天候次第」とコメントしておいたがようやく出発できることになった。なお新ハイキングクラブの知り合いは「4月6日に12時間ピストン登山を成功させた」と4月20日に話してくれた。

 4月11日は晴れの新座だが、朝日町は午前中曇り午後晴れとの予報であった。運悪く京浜東北線人身事故で北朝霞、武蔵浦和は大混雑であったがどうにか予定時刻に大宮到着、はくたか553号の2号車両1号車両側荷物置き場でCLと落ち合うことができた。飯山で雨になったが朝日町は15時晴れという予報に期待した 曇り空の黒部宇奈月駅東口に出て日産レンタカー(兼JRレンタカー)で手続き後、ナビに小川温泉を目的地に設定して出発した。そのせいで小川温泉まで行き過ぎたが引き返して欄干が青い橋を右折(迷わなかったら左折)し、第2発電所前を右折して桜が咲き誇る細い砂利道を夢想塾まで進んだ。小雨が降る夢想塾は廃集落同然のようだった。送電線鉄塔を目印に水溜りの駐車場の奥に大地山登山口道標があった。「熊注意」ともある。標高は約180mである。出発前に昼食をとった。
 CLを先頭に20㎏近い荷を背負って夢想塾を出た。最初の難関は30mの泥坂急登である。垂れているロープを頼りに這い上がって一息ついた。杉林を抜け、赤松林の稜線をゆっくり上る。雨が降ったせいと急傾斜で泥土を踏むと足が滑るが道はしっかりついている。乾いていれば問題はない。林がミズナラ混淆に、薮に笹が目立つようになる。緩やかになった登り道の笹は刈り払いされて歩き易い。何の獣糞だろうか? 何か所も刈り払い道に転がっていた。標高620mのブナ・ミズナラ混淆林・笹薮道に残雪が出てきた。標高639m峰から次第に残雪の上を歩くようになる。まだ所々に夏道が顔を覗かせていた。腐雪を掴むせいで手袋が濡れるのでオーバー手袋を装着する。残雪が続くブナ林の上は曇り空であった。夏道が雪に隠れ、新雪で先行者の足跡が見えなくても目印テープが要所にぶら下がっているので迷うことはなかった。三角点がある標高796.1m峰を鍋倉山と地元では呼ぶらしい。礒田の疲れ具合と15時30分を過ぎているのをCLは認めたのか、等高線標高810m峰を越して少し下った派生尾根標高805m平坦部雪上にテント場を踏み拵えて待っていた。感謝!

 4月12日 全くの静寂のせいだろうか。3時30分起床の予定が5時まで寝坊してしまった。テントの外に出て空を見上げると予報外れの曇りで少々気落ちした。朝食後、アタックザックを背負い、用心のためアイゼンを履いて出発した。山端上の雲に隠れて朝日が出ている。昨日の新雪のせいで踏み跡が見えない。広い尾根は目印テープと新雪の色具合を頼りに、細尾根では薄い踏み跡を辿って登った。もちろん俊足のCLが先行しているので礒田はその足跡を追えばよい。7時半過ぎに軽装の若い男女がお喋りしながら追いついてきた。標高差800mを2時間30分位で登ってきたと思われる。我々の約2倍の高速だ。今度は2人の足跡を追うことになる。見れば途中で軽アイゼンからスノーシューに履き替えていた。新雪が次第に深くなってきたせいだろう。頭上3mの赤テープに消えた積雪を想像しながら高木森林帯を進む。次第に林は小木化し雪に覆われた薮尾根となる。左(北西)から(南東)伸びる尾根の向こうにようやく白い初雪山が覗いた。北西には富山湾と能登半島も望める。アップダウンが続く。先行2人は下りをまるでスキーのように滑っている。最後の登りを喘いでいると大地山山頂からCLの声が届いた。
 標高1167m峰を地元では大地山という。登山口からここまで夏道がある。初雪山、さらにその先の犬ヶ岳へは道の無い薮尾根と聞いている。頂上からほぼ360度の展望があるが白黒斑や白銀の見慣れぬ峰々が屹立し、雲が高い山々の山頂部を覆っているので山名が全く分からない。写真に撮って下山後に照合すると決心した。ただ初雪山は南東はるか先に名通り輝いている。次第に雲も尾根から離れていくようだ。大休止をとってもらった。
 大地山から残雪の天空回廊が始まる。初雪山までの5km超には峰がいくつもありアップダウンの繰り返しがきつい。まず大地山を東に下ってすこし登り返して隣の峰に、着いたら南東に下って登り返し標高点1143mへ、さらに登って三角点峰1222.9mに着くという具合だ。この峰でアイゼンからワカンに履き替えた。見れば前方の峰の北西斜面を滑らかに下ってくる2つの点があった。20分もたった頃、帰ってきた富山の若い二人と立ち話をした。ただただ2人の高速に驚く。別れて標高点1247m峰に登りついた。初雪山は近づいたがまだまだ先がある。「余力があればもっと楽しいのに」と昨日の重荷と急登りを恨んだ。20mほど下るとその先2km超は初雪山最高点まで登りっぱなしである。標高点1293mを超えた瘤で一休みした。それから後はCLにどんどん遅れをとった。登り尾根の残雪から顔を出している小ブナの枝をエビノシッポが飾っていた。今朝までの雪と風の結果だろう。ようやく雲間に青空がのぞいてきた。先行3人の踏み跡をゆっくり、よろよろと辿って標高点1431mを通り過ぎた。初雪山最高点のポールがはっきり見えるようになった。心配した標高1530m付近の岩尾根は雪で覆われていたのでワカンで支障なく登ることができた。
 CLが首を長くして待っている初雪山最高点にようやく到着した。まず記念の撮影をして登ってきた大地山から尾根を振り返った。ついで栂海新道稜線を望む。どれが犬ヶ岳だろうか。体を回して朝日岳方向、剣北方稜線を眺めて富山湾方面を見た。まだ高い山は雲のベールを被っているのでやはり同定ができない。CLの「標高差はわずかなのだから三角点までを往復」との勧めを疲れている礒田は断って単独で行ってもらった。CLは20分で帰ってきた。
 初雪山最高点から下る。あれほどきつかったアップダウンも帰りは苦にならない。5分程度の小休止を何度か挟んで三角点峰1222.9mに帰り着くことができた。1km超先には丸い頂上の大地山がある。標高点1143mを過ぎるころには青空も広がるようになった。最後の急斜面を休みながら登った。標高点1143m側尾根からみると大地山の東斜面は南北2つの小尾根に囲まれており、1143m側尾根へ登降するには南側尾根の方がベターであることがわかる。 青空の下で大地山から初雪山を振り返った。青空と雲間の太陽の光で初雪山は輝いていた。振り返ると黒菱山尾根の向こうに日本海、南西にはやはり太陽光でオレンジに輝く富山湾があった。
 大地山からは赤テープに従って下った。谷を通った往路では気が付かなかった赤テープがちょっとした二重山稜の南側に並んでいた。試しに歩いてみたが赤テープで案内される方が幾分楽であった。日が落ちる2時間前にテント場に帰着した。高年の二人は、休憩一時間三〇分を含んで一〇時間一五分でテント場まで往復できたことになるが、CL単独ならばこの0.8掛けで十分とはいつも思うことである。

 4月13日 テントを畳んだところに単独登山の男性が現れた。本日は土曜日で天気予報は快晴だから登山する人も多いと思う。結局、夢想塾に着くまでに単独、2人連れを含めて約10人の男女に出会った。中には単独のブラジル人女性もいた。軽装備でワカンをザックに引っ付けた方が多かった。中型ザックを膨らませた2人組もいたが声をかけたくなったけど遠慮した。昨日の2人が残した雪の上の足跡(男性の靴と女性のスノーシュー)と木に着いた赤テープを拾いながら下山する。食料と水が減った分、荷が約4.5㎏も軽い。鍋倉山のブナの枝の間から青空の下、能登半島や剣北方稜線が見えた。「剣岳が見えているのでは」とCLに声をかけたが自信がない。黄色のチヂレ花をつけたマンサクの枝越しに見える白い尾根には「もしかしてあれが僧ケ岳」と思われる峰があった。すぐに夏道が出てきた。次第に春山になる。登るときには蕾だったイワウチワがもう白い大輪の花に変わっていた。道の両側の薮には開花したタムシバ、ユキツバキもマメザクラも見えた。ブナ混淆林を問うに抜けミズナラ混淆林から赤松林に代わって標高500mになると急降下が始まる。滑りやすい泥土、引っかかりやすい根などに注意していると身軽なCLから何歩も遅れてしまう。いつものことだ。大地山登山口のロープ場上にどういか着いた。標高差30mを後ろ向きにロープを掴んでそろそろ降りた。到着した夢想塾の駐車場には全部で7台の車が停まり、日産レンタカーの脇でCLが待っていた。
 夢想塾から黒部宇奈月駅へ帰る。小川ダム下流右岸の堤には植栽された何本ものソメイヨシノが8分咲きながら見頃であったので暫しの撮影タイムとなった。小川沿いのそこかしこ、朝日町や入善町の民家や公園にはソメイヨシノ、ヤマザクラ、ナノハナ、ラッパズイセン、チューリップ、レンギョウなどが一斉満開であった。帰着した黒部宇奈月駅東口の広場からは初雪山、栂海新道・白馬連峰を望めたが、11日のように天気が悪ければここからなにも霊峰を拝むことはできない。なお黒部宇奈月駅の周りにはほとんど店がない。かろうじて日産レンタカーの隣に「仁助」というカフェ・レストランがある。仁助の昼食を含めて費用はおおよそ\36000で納まった (礒田)