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青森県白神山地 向白神岳(三角点1243.3m)

 白神岳避難小屋から見た向白神岳の大尾根
  

【日  付】 2019年04月23日~24日(水曜日)

【メンバー】 L:(九曽神)礒田武志 2名
【日程】   4月22日バスタ新宿(桜観光キラキラ号)22:40発~
       4月23日能代キャッスルホテル09:40着(タクシー)オリックスレンタカー発10:16~白神岳登山口駐車場11:13着~白神岳避難小屋
       4月24日白神岳避難小屋~向白神岳~白神岳登山口駐車場15:58~八森いさりび温泉ハタハタ館着16:32(泊)

【コースタイム】 休憩時間を含む
4月23日
白神岳登山口駐車場11:48~12:00白神岳登山口12:02~12:45二岐12:54~13:25最後の水場13:51~15:19P858m~16:09肩977m~17:31十二湖分岐~17:41P1235m~17:51白神岳避難小屋

4月24日
白神岳避難小屋4:36~玄関岳巻く5:48~6:16P1165m~6:42P1221m6:49~7:20P1250m~7:34向白神岳(三角点)~7:52P1250m8:00~8:26P1221m~8:48P1165m~9:34玄関岳~10:29白神岳避難小屋11:11~11:22P1235m~11:27十二湖分岐~11:59肩977m~P858m~12:45マテ山分岐~12:48マテ山13:03~13:33最後の水場13:45~14:20二岐14:33~15:13白神岳登山口~15:23白神岳登山口駐車場

【コメント・記録】
  200名山である白神岳は2010年10月30日に今出夫妻、清水さん、宇田川さんと登って避難小屋で昼食を摂り、くつろいだことがある。谷を挟んだ向かいの大きな尾根に白神山地最高峰である向白神岳があると登山地図を見て認識していた。もっと以前には天狗岳に登った時に大須賀さんから「向白神岳はあの山」と教えてもらった記憶がある。しかし五能線が年々不便になり、どこから取りついても激薮コースと聞いていたので登りたい山のリストからとうに消し去っていた。ところがリーダーの久曽神さんから2019年山行計画を頂いて大須賀さんが新ハイキングに投稿していた残雪期の向白神岳を追体験できることが判明した。おって詳しい登山計画書が送られてきたのでそれにしたがって準備をすることができた。

 今年の4月は例年になく高温で雪は例年より標高が高いところにしか残らずその上薄いという。残雪が厚く柔らかいならばワカンも不可欠だが薮が出ているようならば歩きにくい。寒波が北日本滞留し続けているので夜明けには雪が凍ることも考えられる。堅い雪壁の登降には爪が長いアイゼンとピッケルが必要だ。とはいえもう少し雪が欲しかった(写真を見てください)

 4月22日に新宿バスタ4階高速バス乗り場A1でリーダーと落ち合い、22:40発さくら観光きらきら号能代行に乗り込むことができた。車内の過半は若い人であったが朝まで静寂で過ごしやすかった。日本だな!

 4月23日は予定より10分早く能代駅近くのキャッスルホテル前に高速バスが到着した。客待ちタクシーが見当たらないのでリーダーがホテルのフロントの方にその旨を尋ねたら快くタクシーを呼んでくださった。感謝の至りである。2分ほどで到着したタクシーでオリックスレンタカーに向かい、リーダーが手続きして手配の車に大荷物を積み込んだ。ナビを白神岳登山口がある林道日野線に設定して出発する。ちょうどソメイヨシノが満開で薄曇りながら春が秋田~青森に北上してきたことを告げていた。

 ジオパーク深浦鰺ヶ沢の道標近くで日本海の写真を撮り国道右手に白神岳登山口の道標を見て林道日野線に入った。すぐ左手の白神山荘には人影がない。杉林を抜けて広い白神岳登山口駐車場に到着した。JR駅からここまで約3km、標高差約185mを重荷を背負って74歳と77歳の老爺が昔のガイドブックにあるように歩くのはつらい。駐車場の先客はRVが1台きりであった。登山口までの林道は休憩舎前でロープ閉鎖されている。休憩舎は前と同じく24時間開放である。ひとまず車内で手持ちの弁当昼食を摂った。

 車に下界用品を残して薄霧の中を出発する。懐かしい舗装林道だ。路傍にはナガハシスミレが大きな群落をつくって咲き誇っている。舗装が終わるところに小屋と広場があり、ここが白神岳登山口だ。小屋に入ったリーダーが登山届に記入し、ついでに本日の登山者を調べて出てきた。登山口から徒歩道に入ると斜面にカタクリが咲き、次第に数を増す。ブナなどの広葉樹と針葉樹のヒバ(アスナロ・ヒノキアスナロ)混淆林となる。霧があがり陽射しが登山路を明るくする正午すぎにはカタクリ、キクザキイチゲ、スミレサイシンの花園が続くようになった。路傍には緑の葉をすでに広げたフクジュソウの株もあった。花を愛でながらゆっくりと登る。二岐について一休みした。沢コースは前回全面閉鎖であったが修復されて一部に学習コースを設定していると看板にある。

 二岐を出て約30分後、沢筋に残雪が出てきた。少し歩いて標高約600mにある最後の水場に到着した。白神岳山頂から約3分標高差50m下ったところに御神水と呼ばれる水場があるという。残雪期の今は雪の下だろうと水を2.5L汲み、ザックに収納した。ずっしりと重くなった荷を背負って小沢をヨロヨロと登った。夏道を外れた笹薮斜面に赤テープがいくつも出てくる。積雪期に登った残骸であろうが紛らわしい。尾根に近づくと一面に残雪が出てきた。小休止してスノースパッツを装着し、サングラスを懸ける。ブナ林の尾根筋に登ると夏道は消え雪の上にはブナ・笹と道標だけになった。次第に尾根が細り残雪が続くようになる。15:15分頃、リーダーに追いつくとハスキー犬を連れた男女と話しが弾んでいた。白神岳ピストン、駐車場のRVの持主、避難小屋は無人とのこと、本日会ったのはこの2人と1匹だけであった。別れて残雪のブナ林尾根を登る。白神山地らしいブナ林だが大木はない。標高1000mを過ぎるとブナが次第に低くなり雪上踏み跡の先を見上げると青空が広がっていた。登ってゆくと矮性ブナ・ダケカンバ・ナナカマドなどの枝だけが残雪の上に出ている斜面に変わる。右手尾根に三角屋根(公衆便所)が見えるようになる。振り返れば日本海を黄金に染める太陽があった。薮・岩斜面になると西日が雪を溶かして水が夏道を流れ下るので道を覆った残雪の下は空洞ができていた。踏み抜きに注意が必要だ。
 尾根に目印となるアンテナが出てくると十二湖分岐だ。目前には向白神岳の大尾根がある。雪上に残る入り乱れた足跡を辿ってP1235mを過ぎると白神岳の三角公衆便所と避難小屋がある。雪に埋もれた避難小屋の一階入口は施錠してあった。先についていたリーダーの助言に従い、3階小窓から大ザックをまず押し込み、次いで肩をすぼめ、さらに頭を突っ込み右肩を下にして小屋に入り込んだ。体格の良い人はどうされるのだろうか? 入った避難小屋の壁や天井には建設にかかわった多数の方々の氏名が墨書されている。感謝にたえない。なお公衆便所の回りは雪が全くなかった。この違いはどうしたことか? リーダーの勧めで白神岳の山頂に再訪した。雪に覆われているものの掘り出された三角点、長谷川恒夫の記念碑、山頂標などは以前のままだった。老爺落涙。弘前、岩木山もぼんやりながら見える。霞が無ければ八甲田や八幡平なども夕焼けしていたはずであった。やはり御神水は雪の下で避難小屋一階入口周りには雪を採ったと思われる削り跡が残っていた。

4月24日
 昨夜は朧月が出ているものの日本海から吹きつける南西強風で小屋が鳴き、揺れていた。起床した3:00には風の音が幾分弱くなり期待が高まる。朝食後アタックザックを背負い、アイゼンをつけて向白神岳へ出発した。まだ薄雲を抱いた強風は小屋の裏から吹きつけている。風裏になる白神岳東の緩斜面を下った。コルには南西の強風が通りぬけ、目前には思いもかけない朝日があった。リーダーの判断で玄関岳西コルから玄関岳北東コルに北斜面を巻くことにした。
 玄関岳北斜面には北尾根と北東尾根があり間には谷も2つある。結果として北尾根を90m下って雪庇崩落点疎林から谷を横切って北東コルに登り返した。先行したリーダーに追いついて一休みする。玄関岳を振り返ると西から雲が飛び上がってきて、コルを走り抜ける。すでに薮先が出た尾根を進むと労山登山時報2019No529p6~7にある迷い易いというH形尾根に着く。尾根筋が見えるので北向き尾根から東向き渡り尾根に迷わずに進み、さらに北向き尾根に乗ることができた。
 風裏になると暑い。P1165mを1140~50mで雪斜面を巻く。巻き終わると尾根には薮・笹薮が出始めていた。残雪を選んで細尾根を進みP1221mで小休憩して再び細尾根に入る。南西強風が体を飛ばす。ピッケルを雪に刺して耐風姿勢を暫しとった。風で雪が飛ばされるのか尾根のここには矮性ブナ・笹・ダケカンバの薮が出ていた。薮めいた尾根を抜けて斜面の雪庇に乗ると風が幾分弱くなる。
 向白神岳はすぐ先か、知らぬ間にP1250mを通りすぎていた。先着していたリーダーが向白神岳三角点1243.3mはこの下と伝えてくれたが尾根の先にはまだ高そうな白峰が続いていた。
 南西からの強風に帽子を飛ばされないように押さえて往路を戻る。P1250mで小休止してP1221mを過ぎる。雪庇が落ちて薮になったところに帰ってきた。幸運にも風が幾分穏やかになり風を気にせずに薮から雪堤へ、雪崖を下って笹薮から短い岩斜面を下りつつ雪を拾う。P1165mを過ぎてH形尾根に着いた。南北尾根から渡り尾根に右折して次の南北尾根に帰り着くことができた。風や雲があっても尾根筋が見えれば迷うことはない。コルで一休みした後、玄関岳の急斜面に取り付く。雪庇が落ちた斜面は迫力があったが往路で懸念したほどではなかった。ただ雪堤はまだ高さ数mもありこれも撮影にたる迫力だった。コルで往路で巻き始めた足跡を確認して薮先の緩斜面をのぼる。と、避難小屋の三角屋根はすぐそこにあった。

 今日はだれにも会わず独り占めの向白神岳ピストンであった。がもう1週間もすれば、いやもう2、3日暖かい日が続けば雪が落ち薮が出て数少ない挑戦者を向白神岳は拒絶し始めるに違いないと思う。

 荷物を纏めて避難小屋から下山を始めた。南西の日本海から登ってくる雲の中に向白神岳の大尾根は隠れてしまう。足下に入り乱れる多数の踏み跡を見ていると白神岳を愛する人と向白神岳を往復した人の数を思わず心中で比較してしまう。もう1m積雪があればなと思う。

 P1235mと十二湖分岐を過ぎ、薮・岩気味の夏道を辿って雪尾根に入った。肩977mを過ぎるとブナ高木林に夏道が現れる。勿論残雪が優勢で夏道は切れ切れだった。笹薮が出たマテ山分岐からすぐのマテ山(三角点841.5m)に寄り道する。ブナ林に囲まれた山頂は前回同様展望はない。アイゼンを外し休憩をとった後、急斜面の電光夏道を下った。最後の水場で今生の別れと水杯休憩をし、後は二岐から赤松林、ヒバ林とキクザキイチゲ・スミレサイシン・ナガハシスミレの花園を通り下った。なんと一輪だがシラネアオイも咲いていたが、多くのカタクリはたった1日の違いでもう花弁を縮らせていた。諸行無常。

 無事に白神岳登山口に到着、小屋で登山届をチェックしてきたリーダーが「なんと記入は下山届であった」と驚愕していた。なるほど先行者が避難小屋にいなかった訳だと納得する。白神岳登山口駐車場に着くと霧雨が降りはじめ、車に大ザックを急いで収納して車内に落ち着いた。

 白神岳登山口駐車場から日野林道を下り白神山荘、神社、JR白神岳登山口駅を確認して小雨に泣く桜満開の八森いさりび温泉ハタハタ館の駐車場に着いた。リーダーがフロントに向かい、帰ってくると「宿確保」という。今夜は能代のビジネスホテルと思っていたが「キャンセルがあった20畳の和室に2人で通常料金」とのこと、逆転ホームランであった。浴場で2組の関東から遠征した渓流釣りの方からイワナ大漁の話しを聞く。「青葡萄虫が良かった、白神も良いが森吉も良い」とのこと、天候に恵まれたことをお互いに喜び合った。     (記:礒田)

サムネイルをクリックすると、拡大写真のページを開きます     (写真 礒田)
 4月23日    
4月24日