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北海道 夕張山地 滝ノ沢岳(1352.6m)

 
 シューパロ湖(千年橋近くから白銀橋と夕張三山、前岳の右に滝ノ沢岳
  

【日  付】 2019年06月25日・27日(木曜日)

【メンバー】 L:(久曽神) 礒田武志 2名

【コースタイム】 休憩を含む
06月25日夕張岳ヒュッテ 14:32→ 15:47 2段の滝下→ 16:40夕張岳ヒュッテ

06月27日夕張岳ヒュッテ 05:23→ 06:25 2段の滝→ 08:29西尾根→ 08:47滝ノ沢岳山頂09:25 →西尾根09:36 →2段の滝10:49 → 11:46夕張岳ヒュッテ

  【コメント】
  滝ノ沢岳(姫岳)は夕張岳、前岳とあわせて夕張3山と言われている。滝ノ沢岳は三角点(1352.6m)もある岩稜の鋭峰である。薮沢をたどり、薮山をよじ登らなくてはならないからか登山する人もまれな寂峰である。一方、200名山の夕張岳は花でも有名、前岳も大夕張コースにあるので見上げる人も多い。
  数少ないインターネット滝ノ沢岳登山情報の中には道迷いをして激薮、鋸岩細尾根に突き当たったというものが複数あった。沢の下流は谷が広く傾斜も緩やかだが迷い易い沢分岐(二岐)がいくつもあるからだという。さらなる情報も不足している。沢登りにどんな装備が必要なのか、尾根から山頂まで岩稜をたどるのか薮の木を掴めるのか知りたい。夏始めの夕張山地はマダニやブユが出るし、ヒグマも心配だ。またインターネット情報では「難所」があるという。沢にある2段の滝、その滝の上は急傾斜の沢、そして西尾根から頂上までの標高差約50mの小木・ハイマツ薮急斜面などだ。
 06月25日 下見
  雲は流れているが日差しが強く明るい。取り付きは夕張岳ヒュッテ前の沢であるのでわかりやすい。遡行する沢は細く水は少なく浅いので、沢靴・沢ソックスはヒュッテに置いて軽登山靴+スパッツで行くことにした。
  沢は針葉樹広葉樹混淆林中を流れ、林床は殆どが笹に覆われている。笹の葉が積もっている湿った場所ではブユが顔の周りに纏いついた。知らぬ間に右の耳を刺されて痒い。沢の下流は谷が広く傾斜も緩やかだが両岸は笹薮で沢分岐(二岐)がいくつもあって迷い易い。コンパス・地形図読みだけでは無理だ。三回ほど思わぬ方向に導かれた。登りはGPSに事前にルートのポイントをインプット(インポート)して現在位置とポイントとの距離の増減で、想定したルートを登っているのか確認するとよい(薮好きのTQリーダーの経験と実行)。道迷いをしてもすぐに設定ポイントに近寄ることができた。
  谷底が次第に狭くなり沢に傾斜が着く。沢周囲の木々が次第に低くなるので明るくはなった。湿った土の上にはイラクサが伸び、手袋やズボンの上から棘を刺す。しばらくの間はヒリヒリチカチカと痛い。できるだけ避けて歩いたが気が付かずに掴むことも幾度かあった。手袋・長袖シャツ・長ズボンが役に立つ
  何番目かの沢分岐になるのかようやく涸れ沢に出た。涸れ沢を少し登ったところに生えている小木に本日初めての赤テープを見つけた。涸れ沢といってもヤチブキ、オオイタドリ、イラクサなどが岸や石の周りに生い茂り緑が濃い。倒木が沢を塞いでいるところもある。登っていくと沢に水が滲み出し、細い流れも目につくようになった。沢音が聞こえてきたので見上げると薮の先に二条二段の滝があった。「偵察はここまで」とTQリーダー、往路を注意して下る。
  本番に備えて沢分岐(二岐)では登る方の沢に積石や倒木で目印を置いた。下りは沢が纏まっていくので迷う心配はない。林床の笹薮の中には作業道?跡、沢跡や鹿道がいくつも交差している。もちろん段差や倒木も隠れているが沢の流れを軸に歩き易い乾いたルートを選ぶことができた。古い作業道を辿ったのであろうか、復路は夕張岳ヒュッテ真裏に出てしまった。
  戸外のベンチに回って衣服を脱ぎ、お互いに背中など見えない場所にマダニがついないかを調べた。幸いにも長袖シャツの上を這っている一匹だけであった。
  06月27日 本番
夕張ヒュッテは標高約645mにある。そこから見上げる空は薄曇り、本日の天気予報では下り坂という。 下見通りにヒュッテ裏から早めに出発した。記憶を繰りつつTQリーダーのGPSのポイントを確認して幾つかの沢分岐(二岐)も迷わずに登り沢を選ぶことができた。谷が狭まり、涸れ沢とヤチブキ・オオイタドリ・イラクサの斜面を確認した。下見で迷った往路地点の一つだ。地図読み・GPSルート確認をして右沢に入りガレ・薮沢を登った。出発して約1時間で2段の滝の下(約885m)に到着できた。  
  この滝は左岸の崩れやすいザレ斜面を滝上目指し登り巻く。右岸は滑りやすそうな岩場・崖・草付きになっている。ザレの上は広葉樹疎林で林床はヤチブキやオオイタドリなどである。掴める木の根や枝・幹や草があるので注意して登ればよい。難所の滝を巻くのに10分もかからなかった。ここまでには鹿道が至る所にある。
  滝の上しばらくは水が流れている。小沢を詰めるがすぐに涸れ沢に変わる。笹薮に挟まれた草付きの沢を登って標高約930mで10分程休んだ。約10分登ると解りにくい二岐(TQリーダーのGPS968m)に出た。方位を確かめ沢筋が明確な東北東へ向かう。この沢はガレと草付きでところによって笹薮が覆い被る。真新しい羆の落し物があった。落し物は新旧を問わなければここから上にはいくつも見つかる。これまで踏み跡は鹿が作ったと思ったが羆のお蔭かもしれない。熊鈴を鳴らし続けてきて良かった。熊鈴・笛は必携である。
  谷が開けて少し明るい。左右の斜面近くは笹薮だが沢底はオオイタドリ・シダ・フキの広め草付きになっている。草付き鞍状ガレ(西尾根展望点と言おう)で10分ほど一休みした。登ってきた谷から先や滝ノ沢岳西尾根を展望できる。
  西尾根展望点の上流はガレ沢になる。下流の丸石と違い、角・稜が鋭い浮石のガレだ。手を切らぬように石を押さえ、シダの株、小枝や笹を掴んで確保して体を引っ張り上げる。ヤチブキの斜面の右手にスラブが見えた。スラブの上の斜面は赤エゾ松・ダケカンバ混淆疎林のようだがその上は鋸状の岩が続くという南尾根だ。ガレの石が鋭い端を持つのはこのスラブが剥離して落ちたからに違いない。スラブを右手沿いに谷を登るとサクラソウモドキが絶壁の裾に咲いていた。沢はヒュッテからここまでついている。沢の終わりで約8分休憩して斜面の笹薮に取り付いた。斜面は短く西尾根は目前になる。
  斜面の上の西尾根(約1290m)は中木のダケカンバなどの疎林で林床は薄めの笹薮であった。登りついたポイントから滝ノ沢岳頂上への取りつきは間近である。TQリーダーがポイントに赤テープを目印に巻いた。西尾根を南東方向へすこし詰めれば滝ノ沢岳頂上への急斜面の取りつきになる。難所の急斜面は低木の幹や枝を掴んでよじ登る。低木は絡み合うほど茂っていた。見れば鋸目が要所にある。急斜面の途中からハイマツの薮に代わる。滝ノ沢岳頂上部を覆うこのハイマツ薮にも古い鋸目が残っていた。コースを間違わないで済む。先人や前を歩くTQリーダーに感謝の気持ちでいっぱいだ。ハイマツ薮を抜けたらイソツツジやヒョウタンボクの緩い傾斜の頂上稜線になる。驚いたことには踏み跡がありその脇にはイワシモツケ、ゴゼンタチバナが咲いていた。西尾根から標高差約50mを15分位で(GPSログデータ)で頂上部に登りついたとは自分でも驚く。本当だろうか。
  滝ノ沢岳の頂上は2人が休むに十二分な広さがある。三角点(1352.6m)があるはずだが確認し忘れた。薄曇りだが南東には尾根続きの前岳、その先には大夕張岳が展望できる。北の芦別岳方向は靄ってぼんやりした峰々しか見えなかった。西は西尾根の先、左手の緑の山々の間にシューパロ湖も白く見えた。もちろん霞んでいた。晴天であれば展望は絶景だったろうが残念だ。足元を見下ろしても南尾根や北尾根は目に入らない。足下は断崖、だから遠くの千年橋付近から滝ノ沢岳が鋭く見えたわけだ。南尾根に出たらどうやって登るのだろうか?
  登頂し展望を楽しんだことに満足して下山する。ハイマツ薮・低木を潜るようにして急斜面を下った。西尾根を少し歩んで降下点でTQリーダーは赤テープを回収した。降下点から足下の斜面を見回すと登って来た崖沿いの沢と少し離れた北西の沢の二本の沢がある。二本の沢は合流している。そこで笹がより濃い北西の沢を下ることになった。薮脇の笹を掴んで無事に往路の沢に目論み通り出ることができた。登りはシダの株を掴んだが下りは握る笹が頼りになる。本当は手より足の方が肝腎なのだが。
  西尾根展望点で再び休憩した後、西北西に落石を起こさぬようTQリーダーを追って下った。二岐で南南西に向きを替え、笹、潅木やシダの株を掴んで下った。ヤチブキやオオイタドリは頼りない。水の流れ始めた沢を下って滝の直上882mに出た。2段になっている。薮や草を掴んで右岸の岩場を下ることも考えたが往路と同じく左岸のザレ斜面についた踏み跡を辿ることにした。木の根、潅木、草の根元を掴んでザレを慎重に巻いて薮についた。巻きの得意なTQリーダーは普段と変わらない足並みで滝の下まで下って涼しい顔でこちらを見上げている。
  10分ほどの休憩をとった後、ダケブキ・オオイタドリ・イラクサの茂る涸れ沢を下った。二岐にでて涸れ沢から水の流れる沢に入った。林の木も高くなり林床は卓越した笹薮となる。ヒュッテが沢の右岸にあることを念頭に沢音を聞きつつ、沢の水辺歩きをできるだけ避けて堆積堤、沢が涸れた跡、鹿道や昔の作業道を選んで歩いた。二岐に出たが目印に置いた倒木がない。GPSの高度を見ると目印を置いた二岐はもっと標高がある。沢の下流はこんな具合に二岐がたくさんある迷い易い場所だった。10分も歩くと林の先にヒュッテが見え、さらに2分でヒュッテの裏手に11:46ポンと出た。老爺2人の歩きで、休みも含めて頂上からヒュッテまで2時間20分を要した。トラックを画像にしてあるので参考になればと思う。夕張岳ヒュッテの表でマダニチェックをしたのは25日と同じである。なお夕張岳ヒュッテのテラス手摺柱にも布部岳、崕山、鉢盛山、吉凶岳、滝ノ沢岳、夕張岳、前岳、屏風山などの山名が彫り込んであった。薮山愛好者やユウバリコザクラ会にとって滝ノ沢岳は名山なのだ。
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06月25日 下見    
   06月27日 本番下見 
         
  (写真 礒田)