方丈山843.2m~柄沢山934m

【日付】              2023年04月09日

【メンバー】      L:会員外(久さん)、メンバー:礒田

【山域・地図】   新潟県南魚沼郡湯沢町 谷川岳前衛 昭文社山と高原地図16 1999年版谷川岳

【交通】

(往路)大宮たにがわ401号07:01~08:02越後湯沢08:14~08:22越後中里

(復路)越後中里15:16→15:48水上15:57(時刻表は15:53)→16:57高崎16:59→18:21大宮

【コースタイム】

(1日目)越後中里駅8:27→8:35踏切→8:41第3リフト下端→第3リフト途中ロッジ向かい標高点545の杉林→8:56方丈山尾根末端→9:07赤土車道、方丈山尾根取り付きを探して右往左往→第1高速リフト上端小屋・柄沢山登山口9:43→11:18柄沢山(昼食)12:10→13:23第1高速リフト上端小屋・柄沢山登山口13:26→蕗の薹を探しながら→14:20第3リフト下端・マウンテンテラス入口14:53→踏切→神社の桜見物→15:12越後中里駅

(礒田:コースタイム記)

【コメント】

(目的・背景)

もちろん久さんに誘われたのであるが、登頂し縦走した残雪期の谷川連峰を手術後のいま一度展望したいと思いが強かった。また2014年3月9日に新座山の会の有志(佐藤L)で頑張って登った荒沢山1302.7mには「越後中里スキー場から容易に登れる」と聞いていた。それを確かめたいとの気持もある。ところが豪雪地帯であるに関わらず、この冬の湯沢町は例年になく積雪が少なく、4月2日には越後中里スキー場が早々と営業終了になっていた。それにも関わらず4月8日の夜は「寒の戻りで湯沢町は降雪」との天気予報であった。出発前は、薮に新雪かと気分が滅入っていた。しっかりした残雪の上を踏みしめたいのが本音である。

(1日目)

越後中里駅2番ホームに下車して見回すと、家々の屋根、道路、畑などが白く、ピンク、ホワイトと満開の桜も枝に雪をつけて雪化粧している。季節外れの寒戻りだと訴えていた。向かいの越後中里スキー場ゲレンデは真っ白、跨線橋へ登りスキーセンター口を見れば閉鎖、1番ホームへ下った。無人になった越後中里駅の小さな箱に乗車券を放り込んで駅前に出た。駐車した自家用車から雪を落として乗り込んでいる方々もいる。冷たい北西風が吹いていた。見上げればわずかな青空切れ目があるが鉛色に重なり日本海から連なる太い雪雲が行列して飛んでいる。ちらちらと風花も纏いつく。北の踏切を目指して線路脇の暗渠水路上を歩んだ。

越後中里駅2番ホーム下車家々の屋根など雪化粧、雪の中で桜満開

踏切からは休業中の越後中里スキーセンターのマウンテンテラス駐車場に入る。第三リフト下端に到着し停止中のリフトを目印に雪を踏んで、地形図破線道路を辿った。

踏切から休業中のマウンテンテラスへ

リフト下端に到着

積雪の深さは踏んだ雪靴のソールを越さない。方丈山へ登りつく尾根末端はロッジの向かいの斜面標高点545にある。杉林の中の道路を北へ登り、尾根取り付きを探す。久さんの判断で尾根に取り付いた。杉・広葉樹混合林の中、笹薮の急斜面を左手でピッケルをさして右手で細木や笹を掴み滑らぬよう確保しつつ体を引き上げて久さんを追いかける。久曾神さんが待つ赤土車道に登り出た。尾根を巻く車道から見上げると方丈山山頂へ延びる尾根はこの車道で切られ、その上、高い法面の上にはさらに濃い薮と雪曲りした低木が茂っているのが分かる。赤土道を左へ、次いで右に進んで尾根への取りつきを探した。取りつける地点には太い笹や雪曲り低木が密に茂っていた。車道を埋め尽くし法面の上まで届き薮や低木を押さえつける積雪が欲しい。リーダーの久さんの判断で方丈山登頂を諦めて、夏道があるという柄沢山に向かうことになった。

方丈山へ登りつく尾根末端はロッジの向かいの杉林薮斜面

赤土道を東に向かい、南へ曲がる。直ぐに車道は赤土から真っ白な雪の下に隠れた。南へ急な上級者向きゲレンデを登る。ゲレンデから東を見て方丈山と柄沢山を結ぶ尾根を確認した。稜線には五葉松や広葉樹が立ち、高木の裾は薮、さらにこちら側の西斜面はゲレンデに向かって切れ落ちている。取り付けそうではなかったし縦走も容易ではないと推測した。ゲレンデ上部から振り返って方丈山を見る。山頂に延びるのはなだらかな長尾根で登り易そうなのだが・・。第1高速リフト上端小屋が目の前に近づくと北西風が吹き抜けて指先がかじかみ痛いくらい寒い。頭上は鉛色の積雲が連なって走り風花も舞う。第1高速リフト上端小屋を風よけにして久さんが待っていた。

ゲレンデ上部から方丈山を見る、なだらかな尾根なのだが
リフト最上部の小屋が目の前、北西風

斜面の踏み跡が雪で隠れているが柄沢山夏道(昭文社山と高原地図で薄茶破線路ということは登山路ではない)はここから始まるだろう。斜面の上は濃い目の薮と予感させる。久さんを追って細い木を掴みピッケルの石突を立てて薮尾根によじ登った。短い斜面の上は地形図通りの平坦な尾根だが低木と薮、足元は新雪が数センチ積もり夏道は見えない。目印テープは見つからないが標杭が打たれている。境界巡視路なのだ。まずは雪が数センチ積もった平坦な薮細尾根を辿る。やはり体に当たる低木と薮が鬱陶しい。尾根が分れるが雪の上に久さんの足跡が残っているので迷うことはない。標高740m辺りで雪の中に押し付けられているイワウチワの花を見つけた。細尾根の左右は切り立った崖である。所々に大小の五葉松が立ち、根元には雪の下にイワウチワが群生していた。尾根の傾斜が急になってもここまでと同じくツゲ等の薮が細尾根をトウセンボする。久さんは下って急斜面を巻いているが礒田は怖くて尾根筋に道を探す。高度が上がると柘植に加えて石楠花やブナの若木が邪魔をし、雪の下は落ち葉が積もって重くて大きな冬靴では滑る。ピッケルの石突だけでなく鳥口を打って登った。カメラを取り出す余裕がない。細尾根に露岩が出ると足運びに注意し左右の薮の細木や笹を掴んで登る。帰りに足を確保できるかが心配だ。尾根分岐に着いた。ここは平坦で下りに道迷いしそうだ。次いで傾斜が急になる。いつもの通り、久さんは先行して薮の中に姿を消した。GPSによると頂上までは残りの標高差は約100mだが薮が濃く現在地が地形図のどこか確認できない。急な薮尾根を登ると雪庇の解け残りが出てきた。久さんが雪堤の脇で苦労している。細い雪の塊が薮を抑えているがすぐにはそれに乗ることができないようだ。もっと大きな雪堤が登山口からあったらと思う。追って大きな五葉松が並ぶ尾根に着いた。小枝に赤テープが結んである。帰りはこれが下りの目印になる。呼びかける久さんの声が右手(南)から聞こえた。最高点らしいところで待つ久さんと合流する。五葉松に囲まれたうえに山頂標など目印がない。五葉松と中低木に薮で視界もない。南へ進むと下りになったとのこと、荒沢山に繋がる尾根であろう。過去の情報を確認できたが北西風に追い立てられて北東の方丈山の方へ少し下る。日当たりにある頂上稜線の雪堤を背にして風をよけた。ザックを尻の下に置いて休憩となる。五葉松の背後には東西の雪化粧した高い山があり隙間からわずかに顔を覗かせていた。 さらに高い山々は日本海から流れ込む雪雲によって頭が隠されている。方丈山に繋がる尾根は薮が密で縦走はとても厳しそうだ。方丈山のその先に斜面を切る林道がある山がある。薮を透かして見下ろせる麓の集落は大源太キャニオンの旭原なのかもしれない。懐かしい。北には湯沢の町と岩原スキー場が見えるが昨夜の雪はもう昼前に融けたように見えた。

柄沢山夏道尾根はここからだろう

急な薮尾根を登ると雪庇の解け残りが出てきた

この辺りかこの先が柄沢山山頂

昼食場所からすこし登り返して下山を開始した。五葉松の間から見えるのは荒沢山~足拍子岳から東へ伸びる稜線だろう。赤テープを確認して薮の茂る北へ急降下した。気温が上がったせいか薮に積もっていた雪が融けかけ落ち葉や土、露岩が雪混じりにずうっと出て来た。足元が不安だ。木の枝や幹についていた雪も解け落ち始めて手袋を濡らす。雪庇の残り物に下り着いた。雪の下に押し伏せられていた細木が立ち始めて足の置き場が難しい。薮を通して見える下界は白から茶に変わっている。細尾根も雪が消えて濡れた落ち葉で足が滑る。急傾斜の雨裂(雪解け水でできたのだろう)では四つん這いで下った。

下山開始足拍子岳から東に伸びる稜線だろう

夏道境界巡視路降下点赤テープ

枝から雪が落ちてマンサクの黄色の花が次々と目に入る。足元には積雪が融けて顔を出したイワウチワが繋がって花と葉の行列となってきた。昼には晴天となるという天気予報と違いまだ曇り空で花撮影の背景に値する広がりの青が足りない。薮が次第に薄くなってくる。尾根分岐を北西に曲がる。タムシバの木が尾根を飾っているが茶色に変色した花が混じる。鞘から顔を覗かせた蕾さえ茶色になっている。季節外れの暑さと昨夜からの寒波の仕業なのかもしれない。境界標杭の周りにもイワウチワの群落があった。もう覆う雪はない。雪を落とした広葉樹の上から高速道路を見下ろすこともできた。雪曲がりしたミネザクラも小さな花と新葉をいっぱいつけて姿を現した。

境界標杭の周りにイワウチワ群落、もう雪はない

尾根分岐を過ぎ、平坦な細尾根に入る。薮はまだまだ鬱陶しいが正面に第一高速リフト上端小屋が見えた。久さんが待っている小屋の周りは雪が消えて褐色の草地に変わっている。ゲレンデもわずかな残雪を除いて茶と緑になっていた。小屋脇の道には蕗の薹が二つ三つ顔を出している。芝のゲレンデを蕗の薹を探しながらそぞろ歩きでゆっくりと下る。雪が消えた道路に着いた。道路の畔には蕗の薹が群生している。少しだけ頂戴して下り、第三リフトの脇のロッジ前に着いた。ちらりと杉林を見て、標高点545辺りの道をショートカットしながら方丈山と柄沢山の間の尾根を改めて振り返った。北西風は緩やかになったが吹き続けている。まだまだ晴天とは言えない。第三リフト末端について陽だまりのマウンテンテラス入口で風よけ休憩をした。駐車場は今も閉鎖、横切ったのは1台のみであった。マウンテンテラスの前(背後?)にはブルートレイン・中里(雪遊びパーク、スマイルキッズパーク前、休憩所)が並んでいる。その背後は方丈山頂上への登り尾根が見えるが柄沢山は前山に隠されていた。西の越後中里駅背後にはあの谷川連峰縦走路の白銀の山々が見える。今の礒田には「目の前の山はなに、名前があるのだろうが思い出せず、訪れたくもできない山の数々」である。

雪解けて芝のスロープ

越後中里駅の背後に谷川連峰が

ンテンテラス入口を出る。目の前の立派な満開桜を見物にまず出かけた。近寄って見上げるとピンクの桜は小彼岸か紅彼岸か、杉木立を背にすると桃色が引き立ち映える。姿は前かがみ、桜の後ろは神社の杉森だった。参道に向かって満開の桜がそろい踏み、前の畑には満開の福寿草も太陽に向いて、その先の蕗の薹の群落は全員背伸びである。後ろにあるのは正面山だろうか。時間調整の撮影をした後、越後中里駅に向かった。越後中里駅は無人で乗車駅証明書を自分で発券して列車を待つ。立派な駅舎に大きな跨線橋、スキーシーズンの混雑が想像できる。今は寂しい。

上越線水上行到着

015P1210065 上越線水上行到着

(礒田:コメント記)

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